― 法改正とデジタル社会の中で、行政書士の使命を考える ―
令和7年5月31日(金)、幕張にあるアパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉にて、以下の2つの総会が開催されました。
- 午前:日本行政書士政治連盟千葉会 令和7年度定期大会
- 午後:千葉県行政書士会 令和7年度定時総会
この日は朝から雨の予報が出ていましたが、移動時は小雨程度で済み、徐々に強まったものの荒天にはならず、無事に会場入りすることができました。
私は今回も議事運営委員会の一員として出席し、表には出ない役回りながら、進行のサポートをさせていただきました。裏方として関わる中でも、会の内容から多くの学びと気づきを得られる貴重な機会となりました。

■ 午前:日本行政書士政治連盟千葉会 定時大会
― デジタル時代に向けた制度対応への言及
午前10時から始まった政治連盟の定時大会では、中村 利雄 会長よりご挨拶がありました。
中村会長は、行政書士制度を政治の側面から支えていく必要性を強調されたうえで、特に近年顕著な行政手続のデジタル化に行政書士がどう対応していくかについての提起がありました。
手続の電子化が加速する中で、行政書士が制度の中で果たすべき役割も、従来の代書的な立場から、専門職としての変化と対応力が求められる時代に入っていると受け取りました。
■ 午後:千葉県行政書士会 定時総会
― 法改正案の説明と制度の今後
午後からの県総会では、来賓の方がご出席されました。
中でも印象的だったのが、熊谷俊人 千葉県知事と、常住豊 日行連会長によるご挨拶です。
熊谷知事からは、県政の今後に関する取り組みや課題についての言及があり、行政実務に精通した存在としての行政書士に対する期待が述べられました。
そして常住会長からは、現在国会で審議中の「行政書士法の一部を改正する法律案」についての解説がありました。
既に衆議院では可決され、来週以降に参議院での審議が予定されているとのことです。
■ 行政書士法改正案の5つの柱
― 参加者として印象に残った主な内容
お話の中で特に印象に残ったのは、今回の改正案が以下の5つの点に焦点を当てているという点でした。
私自身、行政書士という立場で感じたことを以下に整理します。
①「使命」の明文化
まず第一に、これまで制度の目的として位置づけられていたものに加え、行政書士の使命が明確に規定されることが予定されています。
「国民の権利利益の実現に資すること」が法文上にも明記されることで、行政書士が担うべき社会的役割がより強調される印象を受けました。
②「職責」の明記とデジタル対応の規定
次に、行政書士の職責が新たに定義され、特にデジタル社会に対応する姿勢や能力が職責として求められるようになります。
電子申請やデータ活用など、実務の変化が急速に進む中で、これまでの延長線だけではなく、より積極的なIT対応が制度的にも求められることになりそうです。
③ 特定行政書士の業務範囲の拡大
三点目として、特定行政書士の業務範囲が広がることも示されました。
現在は不服申立てに関する一部の手続に限られていますが、今回の改正では、行政書士が作成できる書類に係る「許認可等」に関する不服申立て手続まで代理が可能となる方向で進んでいるようです。
④ 業務制限の明確化(趣旨の整理)
四つ目は、行政書士・行政書士法人でない者による業務の制限規定について、より分かりやすく、具体的に記載されるという点です。
「他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が加わることで、いわゆる“グレーゾーン”の業務についての判断が明確化される趣旨との説明でした。
⑤ 両罰規定の整備
最後に、行政書士個人だけでなく、行政書士法人そのものにも責任が及ぶ両罰規定が整備されるとのことです。
これは、法人としてのガバナンス体制や倫理管理がより一層求められるという方向性であり、組織的な信頼性の確保が重視されていることが伝わってきました。
■ おわりに
今回、議事運営委員として参加しながら、総会の中で語られたさまざまな話を拝聴し、改めて行政書士制度が時代の変化に対応しようとしている最中にあることを強く感じました。
制度が変わるからこそ、日々の実務の中でも自分自身が変わっていかなければならない。
その一歩として、こうした場に関わらせていただけたことに感謝しつつ、引き続き、地域と制度の接点でできることを丁寧に続けていきたいと思います。